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自己への配慮

自分にたいする配慮ということがすべてに優先する。(セネカ)

わが一体の家族考(180)

零位よりの理解を
人間そのものの革命

先の〝AI化した結婚調正機関〟

“ボタン押したら人工頭脳でポンと出て来る。好きになる前に調べる。キスも握手もない中に、純処女・童貞でいける。一人一人のカードが出来る。それで鑑定したら、一○○%近く一生いける程度のものは出来ると思う。実験しつつ、そういう機関を作ることに、今すぐ自分のこととして踏み入れることよ。”

と提言する山岸巳代蔵の先見の明はたんに現状からの精神革命に留まらず、〝人は自然から産まれた〟とするその〝自然〟に対しても自然概念の変更を迫っていく大胆な知性(考え方)にまで及んでいる。
そのことに今頃になって驚かされる。最近のバイオテクノロジーとコンピューターサイエンスが融合する「クリスパー・キャス・ナイン」(CRISPR−Cas9)というゲノム(遺伝子)編集技術を使って人間の遺伝子を自由に編集できるようになってきたニュースを通して、人間そのものの心身のあり方が根本的に書き換えられようとしている世界の潮流を知らされてからだ。
山岸巳代蔵の理論はちっとも奇想天外・突飛ではなかった!?
ここへ来て全世界の頭脳・科学技術は、ヒトゲノムが解明された事によって、ゲノムを編集することで難病を治し、食糧問題を解決し、〝デザイナーベイビー〟を現実化する方向へと集注している。
あの山岸会趣意の中に盛られた一節、山岸会の目指す理想社会の内容を指し示す

“4 学問と実験を基として体質を改造し、疾病を排除し、外観実質共に優秀なる子孫が生まれ
5 自己の延長である同属子孫の幸福と繁栄を招来せん、との目標を同じくする全世界の人類間に、提携と同属愛の優美な心境を造り
6 物心両面共に他を侵す必要なき、協力社会を指向する。”

世界へと世界の潮流は急接近しているかのようにも見える。
加えて1954(昭和29)年に記された「知的革命私案」では次のような見出しを掲げて、
○人種改良と体質改造を
○百万人のエジソンを
○女性は300人近くの直子を遺す
○体質改造 等々。
愛児に先天的に、生まれながらにして不幸の原因を背負わせてはならないとすることと、頭脳及び体質などの悪性遺伝は子孫に不幸を齎すものであるからと、

“かような重要問題を自然にまかせ、等閑に過ごし、偶然変異の僥倖を期待せず、知性による積極的方策を断行します。”

と自信(?)のほどをのぞかせるのだ。
要するに、優秀な先天的遺伝形質を持って産まれた上に、環境適応変化性や、人為所作によって、人間の幸福条件を完全ならしめるのだというのだ!
参考までに1959(昭和34)年頃、全国指名手配されていた山岸巳代蔵が潜伏先で書き綴っていた「繁殖について」の一文を挙げてみる。

“キリストは無精子繁殖の奇蹟を敢行されたのか、信ずる人は信じている。しかも、女性マリヤが男性キリスト分裂とは、奇蹟の奇蹟たるところ。その事実を知らない者はとやかく論ずる資格もなかろう。
創世紀の事はわからないが、現在までにキリスト以外の人は全部異性細胞核交合による繁殖をしてきたようだ。
即ち、植物が開花して雌雄両性の結合による種実繁殖をしている方式の方の繁殖法を採用している。今一つの繁殖法としては、体の分裂による無異性自家繁殖法が、種族により、動・植物、微生物に行われている。
この方法も人間の繁殖に取り入れられないこともなかろう。体細胞を子宮構造内で養育するだけのことで、この方法によると、一人の人体から異性なしで幾億人かの同性・同形質の人が増殖できる。
甘薯の根茎を適宜の単位に分けて、環境条件を備えれば、同種繁殖が無限大的に出来る。菊・柳・その他も、寸断して挿木繁殖が容易で、ヒトデもバラバラにして海に戻せば、個々に体を構成する。
人間実験では指を切り落した跡へ、生理条件の適切な場合は、爪を具備した新しい指を形成する。
切り落した指も適切に養育すれば、切り口からその残された指に、無い部分の体が新成されて、指一本から一人ずつ同形質の人が出来る理。これは挿木式ではあるが、人間の場合、今の科学技術ではかえっていろいろの障害もあり、実用的には単一細胞増殖法の方が効率が高いと思う。求める男女、憧れの異性が、型に嵌めたように同じ顔して頭して、要求数だけ満たされるわけで、心に染まぬ人と結婚の真似事をし、下手に交配して似ても似つかぬ醜女・愚息を産まねばならぬ心配がない。
優秀な人が突然変異で出現した場合などの用意に、今から、物理科学者の月界旅行の準備と併行して、世界の生物科学者の真摯な研究と実現を期待する。
次は、精子・卵子の結合した受精卵子の他床養育法で、排卵に対し、排卵主、または受卵主の体内で、或いは体外で、受精した卵子を養育、受卵主の体内、または他の子宮構造に着床さして胎生を遂げ、嬰児期まで生育さす方法である。
この方法は、女性が類例少ない優秀な遺伝形質を持っている場合、一個の卵子をも廃棄せないで、劣悪遺伝因子に対して優生交代の目的でするものである。
普通、一人の優秀女子は一代に二百~三百人の直子を出生することが出来る理である。これの結合精子は優生遺伝繁殖学的に精子に伏在する形質遺伝因子の特長を精密に調査し、卵子に最も適合する優秀な交合を行なうもので、優秀精子は無計数的に他の卵子と交合できる理である。”

今日までの因習・道徳・宗教観に捉われがちな非理念観念から見たら、あのナチスドイツにおける優生政策に通じる優性思想として誤解や曲解をされ、危険視・糾弾されるに違いない主張・理論だ。
いつ警察に踏み込まれるか分からない不安な追いつめられた心境からの、とんでもない妄想に過ぎなかったのだろうか。

しかし山岸巳代蔵には、〝鶏の産卵は腹中の消化器にあり、目に見えぬ染色体にあります〟として実際に自ら交配に取り組み、環境適応性や抵抗性の高い交配種「山岸三号種」を作出し、その育雛が質的に広く受け入れられた業績があった。
そこには幾多の形質遺伝因子の組み合わせ所謂〝合性〟についての、30年を超える寡黙裡の地道な実験と観察・研究があった。
時流に乗った場当り的な軽薄なもので絶対ないとするヤマギシズム理念の実践による立証があったのである。

こうしてみてくると、〝幸福〟とか〝健全な心身〟とか〝相合う〟といった言い古された言葉の底知れぬ奥深さに圧倒される思いがしてくる。
もうここまで来ると、今世界で起きていることは〝零位よりの理解を〟といった理解の仕方を俟ってはじめて理解されるべきことなのかもしれない。

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 「と」に立つ実践哲叢(46)

喜び、喜ばし合いの世界
伊勢エビ

実顕地というとき、その外形や建物を実顕地と考えたり、集団で生活しているのを実顕地と思ったりしがちだ。いやそうではなく、一人ひとりがイズム生活をしている実態が実顕地といえるはずだといわれて久しい。
もう十年以上も前のこと、〝伊勢エビ〟の話題で盛りあがったことがある。

ある日伊勢エビ五匹が頂き物で食生活部に届いた。困ってしまった。皆で200人いるのだから、どうやって分けたらよいのか?
研鑚会に出してみたら、「なんで困るの? この人にどうぞと丸ごと一匹出してみたら」「えっ、食べれない人が多くなる」「それでいいんじゃないの」
そこでやってみることにした。夕食に色鮮やかに焼き上がった伊勢エビが四匹並び、そこに四組の名前が書かれていた。

その日食卓で食べた人は、抽選に当たったのかなあと気楽に食べた人、私は70歳以上だから貰えたと思った人、皆の目が気になってさっさと食べて片づけよう、殻なんか付いてなかったらよいのにと思った人、とても美味しく食べさせて貰えたという人等々。
食べなかった人は、どうして俺にはないんだ? どういう人が選ばれたのかな? 誰が四組を選んだのか? 食べている人を見て嬉しく思えた等々。 
残りの一匹は、やっぱり出すからには味見をしなきゃね、と食生活の人で美味しく食べたとのこと。

この〝伊勢エビ〟の話がいろんな場で話題になった。各実顕地から寄ってくる研鑚会では、「うちは考えている中に腐っちゃう」「うちはえびせんにして皆に出すかなあ」「うちは老蘇さんにあげる」「この前、和菓子を四個貰ったんだけど、20人でどう分けたらいいの? 一つを五等分に切るか?」等々と大笑いしたことがある。

今から振り返ると、この頃から実顕地の日々の暮らしが研鑽に軽く出されるようになってきたのではないだろうか。
もちろんヤマギシズムでの研鑽はそれをいくら上手に解説できても何の効果も出ないことぐらいは誰もが知っている。ではどうしたらけんさん理念が暮らしの端々にまで浸透していけるのだろうか。ずっと普段着としてのけんさんを着こなしたいと夢見てきた。
そういえば実顕地構想の中身を実践する研鑽資料に次のような一節があった。

「今度提案しようと思ったが、酒瓶を中央に置いて、みんなが喜んで、飲む人で飲んで、喜べるようにやってみたらと思ってる。菓子でもよいし。子供に食べさして嬉しい、おじいさん、おばあさんに飲まして嬉しい状態。みんなが喜びの中で、こんなもんいけると思うの」

あれっ〝あなたを喜ばして私も嬉しい〟って、普段の暮らしそのものでは!? 
そうか、〝ヤマギシズム理念を生きる〟ってこんな感じなのだろうか。〝美味しい〟〝嬉しい〟という感覚が湧き出る源泉に触れた思いがした。

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わが一体の家族考(179)

思考実験小説『消滅世界』
レオナルド・ダ・ビンチ『受胎告知』

禁断の果実を食べたせい(原罪を犯す)で快楽とか恥じらいを知って楽園(エデン)から追放された聖書の〝アダムとイブの話〟から、だとしたら皆が楽園に帰っていく〝アダムとイブの逆〟をいく世界はどのようにイメージされてくるのだろう? 
セックスも家族も男女の差も、もちろん恋愛も世界から消える……!?
そんな奇想天外、荒唐無稽、SF的な思考実験小説『消滅世界』(村田沙耶香)に触発された。
一読して、さもありなんと思った。この間の自分らの〝理想実現〟と称しての様々な取り組みを通して思い当たるふしに触れるのか、他人事ではないリアルさで迫ってくる。

主人公雨音(あまね)は、今では時代錯誤の両親が好きな人と愛し合って、結婚して、産まれた子だ。時代は人工授精で子を授かるのが一般的になり、人工子宮の研究から男性でも妊娠・出産が出来る研究も進み、誰でも一人で妊娠できるようになって、わざわざ家族をつくる必要もなくなってきている。
むしろ家族は、恋やセックスをしないでいられる清潔な唯一の安らぎの場所なのだ。というのも、昔の交尾の名残で恋愛状態になることもあり、それをアニメのキャラクターでのマスターベーションや性器を結合させるやり方(セックス)で処理する場合もある。恋愛は下半身の娯楽と見なされ、よりによって奥さんと性行為するなんて考えられないからだ。恋と性欲は、家の外でする排泄物のようなものと見なされている。
夫婦間のセックスなんて近親相姦と忌み嫌われ、原始的で動物みたいで、気分が悪くなる、ぞっとする、不潔で不衛生で変質者と見なされている。
そこで古風な時代遅れの恋とセックスの真似事を続けていることに耐えられなくなった主人公夫婦は、〝恋のない世界〟へ逃げようと決心する。
そして家族というシステムによらないで、子どもを育て、命を繋いでいくという人間の一番大切な目的を果たす千葉の実験都市『楽園(エデン)システム』へ移住する。
そこでは男性も人工子宮によって妊娠ができる、家族によらない新たな繁殖システムが試みられていた。
人工授精で人口もコントロールされて、生まれた子どもは住民全員で育てる。みんなの子どもは『子供ちゃん』と呼ばれ、『子供ちゃん』は大人たちを(男女関係なく)『おかあさん』と呼ぶ。
夫も人工子宮の手術をして、出産する。そして雨音に呼びかける。
「僕たちはついに楽園に帰ってきたんだ。子どもを産みおとし、すべての子どもの『おかあさん』になる。僕たちはたぶんずっと、間違えてきたんだよ。セックスをしなければ子どもが生まれなかった時代の風習を捨てきれずにさまよっていた。ここはなんて懐かしい世界なんだろう。そう思わない?」
するとすべてが私の子供だ、という想いが雨音の中から沸きあがる。だったら私が「本能」とか「生理的」などと言って信じていた感情や衝動と、まったく違うものが身体の中に芽吹いてくるのだ。

読者の感想もとても興味深い。
○SMAPの「世界に一つだけの花」には共感するのに、現実には個性なんてものは排除し、シカトし、隣と同じであれば安心する日本社会への作家さんの叫びを感じられる作品です。
○ラストは、伊藤計劃の名作「ハーモニー」の結末のような虚無感が漂うが、後味はかなり悪い。妊娠している方、これから予定の方にはお勧めしません。
とはいえ、最近「除菌」や「無臭」を売りにする商品が多いが、世の中、「清潔社会・無痛社会」へと確実に移行していることは間違いない。
○文中の交尾・欲望処理、、という言葉を、愛、恋、あこがれ、ということばに、子供ちゃん、ということばを、「子供は社会の宝です」に置き換えてみると、これは別に不思議な世界や未来世界の話ではないのではないかと思えてきます。
○本作で描かれるパラレルワールドは、ソクラテス/プラトンが思い描いた哲人統治の基盤とそっくり。「国家」を読んで「非現実的だけど、確かに社会の理想の姿だ!」と胸熱だった人は、読んで寒気を覚えること請け合いです。
○SFなんだろうけど、思考実験というか、最近セックスレスについて考えていたので、その先にくるものとしてこうなるのか、あるいはセックスというものは、人生とか人間関係とか、はたまた生物的にどういう意味をもつのかと考察できて、とても勉強になった。
○家族、恋愛感情、母性、その他もろもろ人間の根底の大切なものを無くすとこう言う世界になるのだろうかと怖くなる。しかも、生産されてくる子供が全て画一で同じ無個性なもの。それがさらに怖い。(Amazonカスタマーレビュー)

執筆の動機を著者は語る。
「『本当の本当』という言葉が私の小さいころからの口癖。本当の家族や愛って何?って」
「現実の足かせがあって見えにくい丸裸の、真実の人間の姿を探したいという希望があって、小説で実験を繰り返しているんです」

それにしても著者の〝アダムとイブの逆〟を遡っていくイメージはとても刺激的だ。
ふと聖書のマリアの処女懐胎が思い浮かぶ。

“見よ、乙女が身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエル(ヘブライ語で「神われらと共にいます」の意―引用者注)と呼ばれる”(マタイ伝 1章23節)

ひょっとしたら女性マリアが男性キリスト分裂の奇蹟を連鎖関連的に呼び起こすといった、人間の〝本質改良〟まで視野に入れて探求されていくのがヤマギシズム恋愛・結婚観の秘められた真意かもしれない!? 

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わが一体の家族考(178)

〝結婚調正機関〟に?
『ホモ・デウス』

そうした夫婦二人の一体からはじまる世界に向けて、必然夫婦の〝最も相合う〟繋がりが大きな要素として浮かび上がってくる。
それにしても遠く離れた人との結合ほど良縁で、優秀な子孫が産まれる事実から、幾千里離れていても夫であり妻であるという〝人と人との繋がり〟の計り知れない実態には驚かされる。

そこからの、全人残らずただ一人の不幸な人もあってはならぬとして、誰にでもその人に最も相合う組み合わせがあり幸福な人生があるはずだ、というやむにやまれぬ人間至情のあらわれが伝わってくる。
一例として、古くから男女の間で〝運命の赤い糸〟の仲立ちをする仲人(なこうど)の仕組みを備えた〝結婚調正機関〟なるものについての発言がある。
その知的な緻密さや描きの半端なさに圧倒される。

“実際問題になると、いい加減なことで、「高砂や」になり、「仲人が入ったから大丈夫」などしていても、選定法そのものが、一番重要な条件からいかんならんのに、範囲狭く、機会も少なく結んだり、肝腎な条件を見忘れていることも多い。
インチや太さは少々違うけど、かなり合うのが見つかったら、十分の調査機関を通した方が高い訳で、誰とでもいいが、二人が最も相合う度合いの高い純処女・童貞状態で結婚する。
恋愛も、そういう知的な面でも相合う面を調べて、最も良い状態ですれば、そこに公意行が出てくる。最上とはいかなくても、それに近いもので、恋愛に入り、見合いの場、出会いの場を、デートする。
心の動きを、男は男の調正係、女には女の係が見る。そしてAとBはいけるなあとかどうとか見て、むしろ引き離すようにしたり、揺さ振ってみたり、それでも深くなるか、離れるか、全然反応ないか、片方が焦げついて片想いになるような殺生なとこまで進行させないで、最上に良いのを狙っているが、絶えず変わるかも知れないという観念を入れとく。
男に女の係、女に男の係など入って、その係との間に妙な関係になってしまったり、仲人が味見るというようなことになっては、何のための調正機関になるか分からぬ。
深まらないうちに状況観察すること。くっつくようになったら離そうとして、待て待て、待て待てとして、寄ろうとすると寄せないようにして、試験の期間を持つ。恋愛が寄って肉体にすぐ入るというようなことないようにして、清潔な交際をして、最高潮に来るまではなかなかにして、そういう状態を楽しむ訳。すると相手の欠陥もみな分かってきて、一生一緒にいきたいというとこまで、堰が切って外れるとこまできて、その時初めて調正機関の断を下す。これは親、本人の意見も入るし、親だけの見る目より確か。これは難しくない。銀行や造幣局は要らぬから、彼等をみんな調正機関に振り向けてやれる。”(研鑚会記録「無固定結婚観について」1960.7.4)

なんと〝銀行や造幣局は要らぬから、彼等をみんな調正機関に振り向けてやれる〟というのだ!? 
ヤマギシズムでいう理想社会とはお金の要らない贈り合いの世界を指すのだから、必然銀行や造幣局は要らなくなる。その余った人員を結婚調正機関員に振り向ける? 
だんだん深入りしていくと荒唐無稽な話になって訳が分からなくなってくるようだ。しかも初夜から幸福になんて、いかにも古くさい時代に乗り遅れた感じがしないでもない。

ところが、なんとテクノロジーとサピエンスの未来を予測して世界中で話題のユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』では今世界で起きていることの一つ〝親身のカウンセリングサービス〟について言及されている。
すでに自分らはIT企業GoogleやAmazonに検索や買い物でお世話になっている。ユヴァルは記す。そのうち〝私たちの多くは、自分の意志決定の過程をそのようなシステムに喜んで委ねるのではないか〟と。そのようなシステムとは例えばこんな具合だ。
ジョンとポールに言い寄られて心を決めかねている女性に対して、グーグルは答える。

“そうですね、あなたのことは生まれた日からずっと知っています。あなたのメールは全部読んできたし、電話もすべて録音してきたし、お気に入りの映画も、DNAも、心臓のバイオメトリックの経歴も全部知っています。あなたがしたデートについても一つ残らず正確なデータを取ってあります。お望みなら,ジョンあるいはポールとしたデートのどれについても、心拍数と血圧と血糖値を秒単位で示すグラフをお目せすることもできます。……これら一切の情報と、私の優秀なアルゴリズムと、何百万もの人間関係に関する数十年分の統計に基づくと、ジョンを選ぶことをお勧めします。長期的には、彼のほうが、より満足できる確率が87パーセントありますから。……”

これって、AI化した結婚調正機関のこと?
たしか研鑚会(1960.7.3)の発言の中でもいう。

“ボタン押したら人工頭脳でポンと出て来る。好きになる前に調べる。キスも握手もない中に、純処女・童貞でいける。一人一人のカードが出来る。それで鑑定したら、一○○%近く一生いける程度のものは出来ると思う。実験しつつ、そういう機関を作ることに、今すぐ自分のこととして踏み入れることよ。”

あらためて山岸巳代蔵の先見の明に驚かされる。
幾千里離れていても夫であり妻であるという〝人と人との繋がり〟の計り知れない実態に立って、いっとうはじめに〝結婚調正機関〟なるものをつくり〝夫婦二人で一つ〟から、自ずとこの世の仕組みを変えていこうというのだ!


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