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自己への配慮

自分にたいする配慮ということがすべてに優先する。(セネカ)

わが一体の家族考(150)

愛情世界の解読

そんな折ふと柿谷さんの「遺言」が思い浮かんだ。たしかヤマギシズム恋愛・結婚観に触れられていたなあと思い出したのである。
柿谷喜一郎

2007年の正月、和歌山県のヤマギシズム生活紀南実顕地の柿谷喜一郎(1929~2016)さんから突然大部の印刷物が送られてきた。数年前から正解ヤマギシズムの探求に取り組む思いが高まり、「遺言」と称してその都度気づいたり考えたことや自分ら夫婦の実践記録などが書き綴られていた。
当時自分はイズム探求以前の課題で悪戦苦闘していた時期で自らしっかり受けとめ吟味する余裕などなかった。
取りあえず一読して次のような感想を記してお礼の手紙としたことがある。

“拝啓 寒気ことのほか厳しい折、お変わりもなくお過ごしのことと存じます。 さて、このたびは「遺言」と称される大部のイズム究明の書を贈呈してもらい有り難うございました。ほんとは何度も読み返し吟味してからの読後感想をとも思いましたが、とりいそぎ一読しての、的はずれになるかもしれませんがざっと感じたままを順不同で記させていただきます。
 昨年の夏頃、やはり柿谷さんと同様のイズムの大先輩であられた、山本作治郞さんの『深奥を探ねて』の著書を読む機会がありました。それまでもお顔は以前から存じ上げていましたが、結局一度もお話しする機会はありませんでした。しかし書かれたものを通して、さすが山作さんだなぁとそのイズムへの究明心を知らされて驚きました。
 なかでも山岸先生の第3輯「恋愛と結婚」のまえがきに書かれてある「宇宙自然の愛護」についての山作さんの深い探求は生涯を通して続けられたようです。私も一生の課題にしたく、感銘を受けました。
 言葉というものは、受け取り方はそれぞれまちまちで全くの誤解に向かう場合もしばしばですが、そこのところを割り切った上で、心を通わせたいとする際には便利で有り難いものだと思ったしだいです。
 今回も柿谷さんの書を読ませてもらって、へぇー柿谷さんはこんなふうに考えているんだぁ、と蒙をひらかれる思いがしました。ふだんの立ち話程度では分からないものだなとつくづく感じたしだいです。

 ○「私意尊重」の究明を軽視してきたことを反省します。
 ○生かし合うには一体以外にない。
 ○無を有にするボロと水の心
 ○何があって、何が無いとはっきりしているか。これが大問題だ、と数字を示して語っているのが愛研。
 ○「夫の行為は妻の一体によってなるもの」 先生の発見であろうが、自然界のことで、世の男、女の実態を数字で顕したもの。
 ○「理想社会」が浮かんできて、そうなるために具現方式もひらめいて、夫婦で縮図として成せる、となった時、感激だったであろうと想像できる。

 こうした世界を綴られる柿谷さんの世界も、勇躍歓喜の心境で満たされているであろうと推察されます。この世界はまた私自身の目指す世界だと知らされます。
 ただこうした世界と現状の実顕地を直に重ね合わせて、そこから柿谷さんの老婆心のようなものが時々文面から感じられてくる個所があります。お叱りを受けるかもしれませんが、もう少し距離を置いて眺められた方がよいのではないか、と私自身は私なりに自戒しています。さきに「私意尊重」の究明といった文言がありましたが、私自身もこの間の実顕地づくりの中で一番遅れていたのは、私意尊重というか自分で自分を尊重する、配慮するというもっとも人間にとって大切なことの研鑽が軽視されていたところにあったのではないかと反省しています。
「自己より発し自己に還る」といいながら、「真実、それに自己を生かす」とも唱えながら肝心の「自己への配慮 尊重」についての究明は未だしの感があります。現在の私の最大の取り組みどころ、課題です。そうした意味からでも、どうか柿谷さんにももっともっと真の意味でのご自愛を願うものです。
 以上思いつきを二三並べましたが、柿谷さんの力強いイズム究明に賭ける熱意に同調、励まされて勝手なことを言ったかもしれませんが、お許し下さい。
 まずはお礼まで申し上げます。
平成19年1月21日 ”

今度改めてその後も亡くなられる前まで不定期に送られてきた「遺言」集を読み直してみた。そして、そうか今自分が取り組んでいる課題は、山本作治郞(1912~2004)さんや柿谷喜一郎さんなど先人達の流れに位置するのだなあと思い知らされた。
ちなみに夫婦の真字に理想社会の縮図を見る柿谷さんの語録を幾つか並べてみる。
夫婦の真字・ふさい

○夫婦はもちろん,男と女はお互いに無いものを持って生まれてきている。何があって、何が無いとハッキリしているか。
○今までは、男の目で女を見、女の目で男を見るという、常に二つのテーマで混線して語ることをしてきた。
○〝全てを生かす〟というほどのものが、女性に存在しているということはすごいことだ。
○〝美しきもの〟を、ヤマギシでは「生かす」というのかと思う。
○夫婦の一体は、理想社会の縮図として最小単位の理想実現の絶好の舞台であると思う。
○女性は宝物を持って生まれているにも関わらず、自らが宝物を捨てる方向になっている悲劇。越路吹雪が歌う「一寸おたずねします」の歌詞に〝19の時に落とした愛を探して…〟がある。
○当時(1958年)四日市の頼子さんのアパートで先生(山岸巳代蔵)と頼子さんが夜明けまで研鑽していた時、今夜は危険だからといって春日山から四日市まで八人で飛ぶようにして行ってアパートのまわりを寒空の下で夜明けまで夜番しました。心の芯まで凍るようでした。死んでも忘却し得ないほど寒い夜でした。

こうしたイズムの大先達に導かれて、さきの数字に秘められた愛情世界の解読を、〝「理想社会」が浮かんできて、そうなるために具現方式もひらめいて、夫婦で縮図として成せる、となった時、感激だったであろうと想像できる〟世界を行きつ戻りつしながらも探求し続けていこうと思う。
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