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自己への配慮

自分にたいする配慮ということがすべてに優先する。(セネカ)

「と」に立つ実践哲叢(41)

新しい時代についていく

昨年11月末の村の交流会で何か皆の前で話せというので、たまたま当日朝のニュース〝中国政府、「世界初のゲノム編集赤ちゃん」研究の中止命令〟から思いついて、今世界で起きている目覚ましい科学技術の進化と自分ら日々の暮らしとの繋がりについて話してみたことがある。
ゲノム編集技術

今まで自然(神)の領域でなされていた遺伝子の組み合わせが画期的な遺伝子編集技術(クリスパー・キャス・ナインの発見)によってまるでワープロで文章を編集するように人為的に簡単に書き換えられるのだという! そのゲノム編集技術の開発者の一人、ジェニファー・ダウドナ自身が自著で心配していた真当の使い方を知らない人にも使える技術ゆえの懸念がまさに現実になったといえる。

以前にもスマホや自販機などに象徴される文明の利器の有り難み、温もりを振り返ってみたことがある。その時までは外なる創造・物質進化と内なる人間自体の開発・創造面とを切り離して考えていた。だから外なる創造のより一層の進化と共に肝腎の人間問題が立ち遅れにならないよう、今ほど人間自らの開発・創造の方面こそむしろ先行して取り組む時はないとしてきた。

ところが今世界で起きていることは、内なる心は知らぬ間に外なる便利で快適な科学技術の一方的な勢いに侵されつつあるという驚きにある。外なる創造する積極的能動をそのまま内なる人間自体に持ち込み、内部が心を持たないAI(人工知能)のアルゴリズムに置き換えられようとしているのだ。外と内が離れたものでなく直にリンクする、はじめての事態に直面しているのだ。
先の中国政府の中止命令に見られる旧来の生命倫理観から見ての今日の重要施策と同時に、今一つ、今直ちに着手しなければならぬことがあるのではないか……。
そんな話す本人も未知ではじめての事態のことをたどたどしく語るものだから、聞く方はもっと見事なくらいチンプンカンプンだったらしい。

それはさておき、そうした事態が当然の帰結ともいえるなら、今世界で起きている目覚ましい科学技術の進化はどうしたら真の幸福目的のために利用されるのだろうか。また生来の人間としての豊かさ、広さ、徳性を果たしてどれほどより広く深く進化させていけるのだろうか。問われるのは、内なる人間自体の開発・創造面であろう。

そう言えば当の〝クリスパー〟も細菌がウィルス感染から身を守っているという自然現象の研究から生まれたという。内なる人間自体の開発・創造というと大層難しいように聞こえるが、ヤマギシ会趣旨の一節〝自然と人為の調和をはかり〟という意味での自らの能動的な〝働きかけ〟としてとらえたい。
そうすると、それは誰の中にも無限大に潜在して人間ある限り無くならない、開発さえすればどんどん湧き出てくるものではなかろうか。その辺り今少し思い巡らしてみる。
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