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自己への配慮

自分にたいする配慮ということがすべてに優先する。(セネカ)

わが一体の家族考(163)

信じない思想家・山岸巳代蔵
四大聖人

続いて山岸巳代蔵と柔和子による研鑚会記録「編輯計画打合せ」(1960.3.6)を読んでみよう。
この記録は最初『正解ヤマギシズム全輯』の「全輯を通しての前ことば(試案)」を前述の奥村通哉さんが作成し、その一文を検討するところから始まる。山岸巳代蔵の方からは例えば次のような興味深い意見が入る。

○高い立場からのキメつけを持たない言葉遣いで。例えば「私のこれがいいのだ」でなしに「私もこんなふうに考えてみたがどうだろうか」と。現在のこれがまずいという感じを持たさんようにしたいと思う。
○古い、非科学的、無知な、幼稚な感じを持たせたら読まないと思う。
月の世界に行けない時代から行ける時代になっている。人間の観念界においてさえ、怒りの問題でも腹立つものとしていたところから人間の知恵で腹立たなくなってきたと。
○対象が中学生程度と言ったのは、あの時代は抽象的ないい加減なところでは承知しない。追究っていうか、究明欲がとてもあるから、「そうか」、「そうやったんか」、「そんならこれも出来る」と、こういう取り組む究明意欲が湧いてくるような……。
○ここの〝釈迦やキリストやソクラテスや孔子といった人々が生まれ、優れた方法を説いた〟が気に入らん。優れているか優れてへんか、そんな分からへんでね。実際はあんなもん出してくれたおかげで、えらいことになったんやで。それぞれの考えやろ?
あれから宗教が出来、盲信が出来たんやでね。そのために人類がいつまででもこんな馬鹿なことやっているのやでね。

として、「多くの人に永く影響を及ぼすような説を唱えた」に変えて進みながら、ヤマギシも

“ヤマギシ大聖人が出来たらアカン、宗教にしたら大変”

と強調する。
続いて、「人間同士がお互い仲良くしあって楽しい生活をしていくことに、人々の目は大いに開かれた時代もあったでしょう」の一節が検討され、

“「仲良く楽しく」はまだ早いと思う。本当の生き方やね。「仲良く楽しく」を早く出すのは、なんや甘いように思う。本当の生き方を、あれは究明したものだから。始めから「仲良く楽しく」を出すと、宗教的に受け取られる。”

として、「ずいぶんと野蛮な(原始的と言われる)時代が永く続いてきた後に、釈迦やキリストやソクラテスや孔子といった人々が生まれ、すぐれた方法を説いたので(多くの人に永く影響を及ぼすような説を唱えたので)、人間同士がお互い仲良くしあって楽しい生活をしていくことに(の本当の生き方についてかなり究明し)、人々の目は大いに開かれた時代もあったでしょう(だろう)が、」
といった研鑽形態の表現、〝研鑽文法〟の記述に変えられていく。

ここで多分奥村通哉さんは、世界四大聖人を思い浮かべて釈迦・キリスト・ソクラテス・孔子の名前を挙げられたにちがいない。
ナルホドナーと感心する。さすが信じない思想家・山岸巳代蔵の面目躍如たるものがある。

なるほど「仲良く楽しく」と「本当の生き方」のどちらを〝先出し〟にするかによって丸っきりその後の展開が異なってくる! つい「仲良く楽しく」を強調することで手痛いしっぺ返しを食うこととなった自分らのかつてのイズム運動面での記憶がよみがえる。
そこまで考える焦点を一つに緻密に簡素化して考えるのかと驚かされる。何もかも一緒くたにする大雑把な観方で〝まあそれで良しとしている〟普段の自分の甘さを恥じる。
その後二人の話題は、あちらこちらに飛びながらも、

山岸 分かる私でなしに、どこまでいっても分からない私。その中でも、相手を最も聴こうとするもの、そこやね、分からないなりにも。そやね。”

と続き、

山岸 しかし、明るい春になった。
柔和子 今年は三五(みご―引用者注)とな年(昭和三五年)で、私も見事なくらい、今年は見事に整理せんならん。
山岸 本当に健康にね。パッパッと気分転換でいこうよ、ね、ね。  
柔和子 ハイ。
山岸 ね。
柔和子 ハイ。
山岸 苦しいても、苦しいても、それをどういうふうに打開していくか、これもだめ、あれもだめ、そんならこれやろと、気づいていく楽しみ。”

と大団円を迎えるはずだった。
しかしそうはならなかった。
柔和子の

“愚痴のなかった私が、今度は非常に愚痴っぽい私を感ずる。過去の話を出さなおれない。過去の話を出しながら、「何と愚痴っぽい自分になっているな」と自己嫌悪に陥る。相手があって、またこちらから吹き出てくる、愚痴がね。(略)”

との発言を受けた山岸巳代蔵の

“こんな女と出会ったばかりに、女の愚痴なら可愛らしいのに、男の愚痴やら嫉妬って(未練が断ち切れず、その愚痴に付き合う自分自身?―引用者注)、可愛らしいもんでないのに、男の体面もさっぱり丸つぶれや。”

といった辺りから雲行きが怪しくなっていく。
ここからまた二人のいつもの通じ合わない堂々巡りがくり返されるのかと思いきや、ナント意外な展開が……。
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