FC2ブログ

自己への配慮

自分にたいする配慮ということがすべてに優先する。(セネカ)

わが一体の家族考(178)

〝結婚調正機関〟に?
『ホモ・デウス』

そうした夫婦二人の一体からはじまる世界に向けて、必然夫婦の〝最も相合う〟繋がりが大きな要素として浮かび上がってくる。
それにしても遠く離れた人との結合ほど良縁で、優秀な子孫が産まれる事実から、幾千里離れていても夫であり妻であるという〝人と人との繋がり〟の計り知れない実態には驚かされる。

そこからの、全人残らずただ一人の不幸な人もあってはならぬとして、誰にでもその人に最も相合う組み合わせがあり幸福な人生があるはずだ、というやむにやまれぬ人間至情のあらわれが伝わってくる。
一例として、古くから男女の間で〝運命の赤い糸〟の仲立ちをする仲人(なこうど)の仕組みを備えた〝結婚調正機関〟なるものについての発言がある。
その知的な緻密さや描きの半端なさに圧倒される。

“実際問題になると、いい加減なことで、「高砂や」になり、「仲人が入ったから大丈夫」などしていても、選定法そのものが、一番重要な条件からいかんならんのに、範囲狭く、機会も少なく結んだり、肝腎な条件を見忘れていることも多い。
インチや太さは少々違うけど、かなり合うのが見つかったら、十分の調査機関を通した方が高い訳で、誰とでもいいが、二人が最も相合う度合いの高い純処女・童貞状態で結婚する。
恋愛も、そういう知的な面でも相合う面を調べて、最も良い状態ですれば、そこに公意行が出てくる。最上とはいかなくても、それに近いもので、恋愛に入り、見合いの場、出会いの場を、デートする。
心の動きを、男は男の調正係、女には女の係が見る。そしてAとBはいけるなあとかどうとか見て、むしろ引き離すようにしたり、揺さ振ってみたり、それでも深くなるか、離れるか、全然反応ないか、片方が焦げついて片想いになるような殺生なとこまで進行させないで、最上に良いのを狙っているが、絶えず変わるかも知れないという観念を入れとく。
男に女の係、女に男の係など入って、その係との間に妙な関係になってしまったり、仲人が味見るというようなことになっては、何のための調正機関になるか分からぬ。
深まらないうちに状況観察すること。くっつくようになったら離そうとして、待て待て、待て待てとして、寄ろうとすると寄せないようにして、試験の期間を持つ。恋愛が寄って肉体にすぐ入るというようなことないようにして、清潔な交際をして、最高潮に来るまではなかなかにして、そういう状態を楽しむ訳。すると相手の欠陥もみな分かってきて、一生一緒にいきたいというとこまで、堰が切って外れるとこまできて、その時初めて調正機関の断を下す。これは親、本人の意見も入るし、親だけの見る目より確か。これは難しくない。銀行や造幣局は要らぬから、彼等をみんな調正機関に振り向けてやれる。”(研鑚会記録「無固定結婚観について」1960.7.4)

なんと〝銀行や造幣局は要らぬから、彼等をみんな調正機関に振り向けてやれる〟というのだ!? 
ヤマギシズムでいう理想社会とはお金の要らない贈り合いの世界を指すのだから、必然銀行や造幣局は要らなくなる。その余った人員を結婚調正機関員に振り向ける? 
だんだん深入りしていくと荒唐無稽な話になって訳が分からなくなってくるようだ。しかも初夜から幸福になんて、いかにも古くさい時代に乗り遅れた感じがしないでもない。

ところが、なんとテクノロジーとサピエンスの未来を予測して世界中で話題のユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』では今世界で起きていることの一つ〝親身のカウンセリングサービス〟について言及されている。
すでに自分らはIT企業GoogleやAmazonに検索や買い物でお世話になっている。ユヴァルは記す。そのうち〝私たちの多くは、自分の意志決定の過程をそのようなシステムに喜んで委ねるのではないか〟と。そのようなシステムとは例えばこんな具合だ。
ジョンとポールに言い寄られて心を決めかねている女性に対して、グーグルは答える。

“そうですね、あなたのことは生まれた日からずっと知っています。あなたのメールは全部読んできたし、電話もすべて録音してきたし、お気に入りの映画も、DNAも、心臓のバイオメトリックの経歴も全部知っています。あなたがしたデートについても一つ残らず正確なデータを取ってあります。お望みなら,ジョンあるいはポールとしたデートのどれについても、心拍数と血圧と血糖値を秒単位で示すグラフをお目せすることもできます。……これら一切の情報と、私の優秀なアルゴリズムと、何百万もの人間関係に関する数十年分の統計に基づくと、ジョンを選ぶことをお勧めします。長期的には、彼のほうが、より満足できる確率が87パーセントありますから。……”

これって、AI化した結婚調正機関のこと?
たしか研鑚会(1960.7.3)の発言の中でもいう。

“ボタン押したら人工頭脳でポンと出て来る。好きになる前に調べる。キスも握手もない中に、純処女・童貞でいける。一人一人のカードが出来る。それで鑑定したら、一○○%近く一生いける程度のものは出来ると思う。実験しつつ、そういう機関を作ることに、今すぐ自分のこととして踏み入れることよ。”

あらためて山岸巳代蔵の先見の明に驚かされる。
幾千里離れていても夫であり妻であるという〝人と人との繋がり〟の計り知れない実態に立って、いっとうはじめに〝結婚調正機関〟なるものをつくり〝夫婦二人で一つ〟から、自ずとこの世の仕組みを変えていこうというのだ!


関連記事
スポンサーサイト



PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する